NHK「あさイチ」11月25日放送
くしゃみをしたときや、重いものを持ち上げたときなど、ちょっとした動作でもおこる「ぎっくり腰」ですが、痛みがとれるまで安静にしつづけるという常識が、現在は変わってきています。
2012年に整形外科学会などが発表した「腰痛診療ガイドライン」でも、4日以上安静にし続けるより、出来る範囲でふだんどおりの生活を過ごすほうが、改善が早いということが報告されています。
医学博士の松平浩さんの研究では、安静を指示された人たちは、動くように指示された人たちに比べ、再発率が高く、腰の痛みが続くという結果が発表されています。
松平さんによると、多くの場合のぎっくり腰の原因は、椎間板の一部が外側へ押し出されているような状態のイメージだと言います。
そのまま安静にしていると、押し出された椎間板の一部が、その位置で固まり、治りにくくなってしまいます。そのため、可能な範囲で動くことが大切だと言います。
痛みがあるときに松平さんは3ステップの対処法をオススメしています。第1ステップは、まずうつぶせになって深呼吸すること。体を動かすためにリラックスすることが重要だからです。
第2ステップは、後ろ側に出てしまった椎間板の一部を元に戻すイメージで、体を反らせていくことです。まずは、自分の力で体を反らせようとせず、枕を胸の下に入れて、反らせていきます。高さも痛みの具合にあわせて調節するのがオススメです。やはり体をリラックスさせ、深呼吸を3分ほど続けます。
そして、第3ステップ。痛みが引いてきたら、さらに腕立て伏せをするような形で、少しずつ体を反らしていきます。このとき、腰をリラックスさせるため脚を開くのがポイントです。ベッドの場合は、足をベッドから垂らすと、より緊張が抜けるのでオススメです。
動けるようになったら、腰にちょっとした違和感を感じたときに「これだけ体操」をすることを松平さんは勧めています。立った状態で、両手を腰に置き、骨盤を押し込むように、体を反らしていく体操です。ゆっくり呼吸をしながら行ってみてください。
ぎっくり腰が起きたら
ステップ1:うつぶせになり3分間深呼吸。
体全体が緊張しているので、リラックスさせることが目的。
ステップ2:落ち着いたら、胸の下に枕を入れ2~3分深呼吸。
《ポイント》椎間板の一部が後ろに出てしまったのを元に戻すイメージで体を反らします。
ステップ3:さらに、体を反らす。このときに足を開いて、お尻から太ももがリラックスしていることが、腰の筋肉を伸ばすために必要。
《ポイント》腰を床から離さないようにしてください。また、足をベッドから垂れるくらいに出すと、さらに緊張を緩めることができます。
ステップ4:十分に緊張が解けたら、腕立て伏せをするようなイメージでイタ気持ちいいところまで反らしていきます。
これだけ体操
(1)手を骨盤に当てる。
(2)ひざを伸ばしたまま骨盤を押し込むイメージで体を反らす。
※「腰痛診療ガイドライン」では、痛みがあるときは鎮痛剤を飲むことも有効だとされています。服薬に関しては、医師にご相談ください。
今回ご紹介したぎっくり腰の対処法をして、尻から脚に向かって痛みがひびいたり、安静にしていても激しい痛みが2~3日続いたりした場合は、医師にご相談ください。
<取材協力>
東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター
運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座
松平浩さん(特任准教授 医学博士)